道を歩けばジムに当たる、なんてのは言い過ぎかもしれませんが、ニューヨークの街を歩いているとやたらと健康に関する施設を見かけることが増えました。
ジムはもちろんのこと、サラダの専門店だったりオーガニックを歌う食品や美容品のお店だったり。
誰の目から見ても疑いようのないくらい健康ブームに沸くニューヨーク。
ぼくもご多分にもれずそんな状況の中でちょっと健康に関して意識が高くなったりもしました。
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でも、ニューヨークの人々が必死になって健康を手に入れようとしているのを見ると、ちょっと怖いような気もするんです。
「金持ちほどスタイルがいい」は本当
ニューヨークに来てからよく聞く「金持ちほどスタイルが良い」という話。
一昔前は「金持ちほど良いものを食って太っている」ようなイメージを持っていましたが、ことニューヨークに関してはこれは真逆でした。
ぼくは一時期、インテリアデザインの事務所でインターンとして働いていました。
その頃、もっぱら高級家具メーカーのショールームに出入りしていたのですが、そこで見かけるのはやはり富裕層の人ばかりでした。
その人達のほとんどは、決して肥満体型ではなく、スマートな見た目をしていました。
変化したニューヨークの流行
この理由は、富裕層の方がいいものを食べているから。
というのは当たり前なのですが、この「いいもの」というのが、詰まるところは「味がいい」ではなくて「身体にいい」なんです。
2015年のタイムズスクエアカウントダウンのスポンサーがスポーツジム会社になったことにも象徴されるように、今ニューヨークは、誰の目に見ても空前の健康ブームです。
富裕層は競うようにオーガニック食品を食べ、自転車で仕事に向かい、仕事の後はジムに通います。
オーガニックを謳う商品の数は日ごとに増えていますし、ユニオンスクエアなどで開かれているグリーンマーケットはいつも大盛況です。
ここ数年の日本食ブームの背中を押した原因の一端も、ここにあります。(ラーメンはまた違った文脈ですが)
この街で暮らしたのはたったの5年ですが、その短い間にも露骨なほどにこの健康ブームが促進していく姿を目の当たりにしてきました。
開いていく格差
そんな流れの中でオーガニックやヘルシーなものはますます高価で取引され、ここ数年では一本$10もするコールドプレスジュースが人気だったりします。
それに対してファストフード店では値下げの傾向が見られており(というか安価な商品の登場?)、最近よく見かけるのはこういう$4のセット。
お金のない貧困層は、必然的にこういった栄養価の低いジャンクフードばかりになり、当然のように肥満の道へと進んでいきます。
さらにはオバマケアの施行によって安価な保険が排除&保険料の上昇が起こりました。
施行後は保険に加入していなければ罰金を支払いまでが義務化され、貧困層にとってはますますの負担となっている事実。
これによって生まれる二つの状況は
・高価になった保険に加入→食費に充てられる額が減る→栄養価の低いものを食べる→健康被害
・保険に加入せずに罰金を支払うことでコストを抑える→健康被害が起こっても保険がないので治療が受けられない
という、いずれにしても貧困層にとって厳しいものとなっています。
収入による健康格差が拡大する?
こういう流れの中で「なんとか健康でありたい」と、アメリカで健康ブームが来るのは当然の流れですが、それと同時にいわゆるオーガニック食品などの限りある「健康食品」の需要も向上し、値段が高騰していきます。
本当に良いものはますます裕福な人たちだけの特権になり、裕福ではないけど健康意識が高い人向けにはやや安価なオーガニック「めいた」加工食品なんかも登場してきて、もはや何が本当に身体にいいのかもわからない。
医療でも同じことが言われますが、本当にお金を持ってる人だけが安心できるシステムが出来上がっていくのは、怖いですね。
都市故の特性?
ここがニューヨークだからなのか。
流行ができやすく、空気が汚く、物価が高い"都市"だから起こっていることなのか?
今東京がどういう流れにあるのかとかは全然知りませんが、ことニューヨークで流行になったものは数年遅れで日本で一瞬で消費される傾向があるので、その辺りも気になるところです。
これが田舎の方に行けば、どういう風に変わっていくのかは、アメリカ横断をする際に色々と見てみたいと思います。
何を大切に生きていくのか。
お金なのか、健康なのか、人間関係なのか、環境なのか、仕事なのか。
暮らしの基準をどこに置くのか。
本当はそういう悩み、全部どうでもいいって思えるくらい、安心できる環境で暮らせたらなぁ、と思ってるけど、そうはさせてくれないのが、都市の暮らしですね。
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