ニューヨーク旅行を検討している人にとって、ニューヨークの治安事情は最も気になるものの一つではないでしょうか。
実際、ぼくの元にもニューヨークの治安に関する質問が多く寄せられます。
なので、元在住者の視点及び現地在住者、行政から公式に発表されている情報ものなどをベースに、日本人観光客向けのニューヨークの治安情報をできるだけわかりやすくまとめてみました。
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ニューヨークの犯罪率について
ニューヨーク州は2014年のデータによると全米50州の中で19番目に安全な州とされています。
Violent Crime Rate By State - WorldAtlas.com
この数値を高いと見るか低いと見るかは難しいところですが、現在のニューヨーク州全体の治安はかつてのニューヨークに比べてずっと良くなったと言われています。
中でも中心部であるニューヨーク市では、2011年の9.11のテロ後、当時の市長であったルドルフ・ジュリアーニ及びその後継であったマイケル・ブルームバーグらが大掛かりな治安改善政策に取り組みました。
この政策によってニューヨーク市の治安は劇的に改善され、現在に至っています。
米NY、2016年は「史上最も安全な年」に 犯罪数が減少 | ロイター
ただし、近隣の町と比較してみると、必ずしも安全とは言い難いのが実情。
やはり世界有数の大都市ゆえに、犯罪率も平均と比べると高めになっています。
ニューヨーク州における平均も大幅に超えており、必ずしも「ニューヨーク市は安全安心な街!」とは言えません。
ニューヨークでよく見られる犯罪
ニューヨークで発生する犯罪の種類は、在ニューヨーク総領事館の情報によると主に
- 強盗
- 暴行
- 侵入窃盗
などが多いことがわかります。
ただ一言でニューヨーク市と言ってもその土地は広く、エリアは大きく五つに分かれており、各エリアで犯罪発生率には大きな差があります。
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これからニューヨークに来られるという方は、エリア情報をしっかり踏まえた上でホテル選びをしっかりするべきでしょう。
以下のグラフは、それぞれのエリアにおける7年間の犯罪率の推移を示したものです。
ほぼ観光地化されていないスタテンアイランドはともかくとして、近年注目を浴びているブルックリン地区が他と比べて高い数値を示しているのがわかります。
まずは一番多い、強盗の発生率。
殺人事件も同様です。
婦女暴行なども同じような傾向が見られます。
Major crime in New York City, 2009-2015
現在マンハッタンを抑えて注目を浴び続けているブルックリンエリアですが、この図を見てもわかる通り、犯罪率が他と比べてとても高いことがわかります。
ニューヨークには女性の一人旅の方も多いので、ぜひとも注意してください。
...と、まるで不安を煽るようなデータを紹介してしまいましたが、普通にしっかりと安全に気を使っていれば、事件に巻き込まれるようなことはほぼないと思われます。
以下に、ニューヨーク観光のための注意点をまとめましたので参考にして下さい。
ニューヨークを安全に観光するための注意点
- 安全なエリアに滞在する。(ホテルの立地に気をつける。)
- 深夜の行動は控える。
- 昼間でも一人で人気のないところにはいかない。
- 声をかけてくる人を簡単に信用しない。
- パスポートの持ち運びに気をつける。
- クレジットカードと現金をバランス良く持ち歩く。
やはり、滞在中に拠点となる場所はとても重要です。
毎晩そこに帰らなくてはいけないと思うと、やはり安全な場所を慎重に選びたいところ。
ナイトライフも充実しており、地下鉄が24時間運行なのでついつい深夜に遊びたくなってしまいがちですが、当然犯罪は昼よりも夜に発生件数が増えます。深夜の行動は控えましょう。
昼間でもマンハッタンやブルックリンには人気のない場所が多くあります。極力そういう場所は避けるようにしましょう。
ニューヨークの人はとても優しく、結構みな気さくに話しかけてきたりします。ただ、あまりにもしつこく声をかけてくる人は何か怪しい人の可能性大なので、あまりリアクションしないようにしましょう。
観光客はやはり、パスポートの持ち歩きに気をつける必要があります。
ニューヨークはバーやナイトクラブなど、お酒が提供される場所だとほぼ必ず年齢を確認されます。
盗難などのリスクを考え、必ず現金とカードを分散させて持ち歩くようにしましょう。
筆者も一度盗難にあったことがあり、苦労しました。(クレジットカード付帯の海外旅行保険に救われました笑)
実際にニューヨークで起こるトラブルについてはいくつか代表的なものがあります。
以下の記事で紹介していますので、ぜひ参考にして下さい。
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ニューヨーク観光で危険なエリア
先の情報から大まかに犯罪率が高いエリアはわかりましたが、それぞれのエリアにもまた様々な場所があります。
ここからは、ニューヨーク観光および滞在に向けてエリア毎の注意すべき区画を地図付きでわかりやすく紹介していきます。
まずはNYC.gov(市局)が公式で発表している2015~2016年のエリア内犯罪グラフをご覧ください。
-画像引用元:NYC Crime Map
青い丸が犯罪の発生を指し、円のサイズが件数を表現しています。
ニューヨーク市の地理に馴染みのない方のために、大雑把にエリアを分けた地図が以下になります。
こちらのグラフをみると主に、マンハッタン全域/ブルックリン北部中部/クイーンズ北西部/ブロンクス南部などが危険エリアであることがわかりますね。
ただしこれらのグラフで示されるエリアと、実際に在住していた者の肌感覚には多少のズレもあります。
以下では、在住者目線による各エリア毎の(かなりの主観による)ざっくりとしたニューヨーク治安分析をしてみました。
※観光客にあまり馴染みのない場所には特に色はつけていません。
また、あくまでも主観ですので絶対の安全を保証するものではないことをご理解下さい。
マンハッタン
まずはニューヨーク市(ニューヨークシティ)中心部であるマンハッタン。
このエリアは碁盤目状に分かれており、細かく分析し始めるとキリがないので、大まかに分けてみました。
まずは危険なイメージの強いハーレムエリアですが、近年開発が進んで随分と安全になった印象です。
確かに雰囲気はまだまだ良くない部分もありますが、125stより下であれば、それほど恐ろしいと思うことはないと思います。(黄色:ハーレム周辺)
赤で示したハーレム以北(125stより北)も、場所によっては市立大学(City Collage)がある雰囲気のいいエリアがあったりして評価が難しいというのが正直なところ。
ただ、一つ道を挟むと危険な場所があったりなどするので、あまり観光客/初心者向きではないと思い、赤にしました。
特にブロンクスと対岸になっている最北部あたりは、5年住んだ自分ですら昼間でも違和感を覚えるくらいだったので、近づかない方が無難でしょう。
緑で示したアップタウン=セントラルパーク周辺ですが、このあたりはいわゆるアッパーウエスト、アッパーイーストと呼ばれる高級住宅街で、比較的治安が良いエリアとして知られています。
ただし深夜のセントラルパーク内は暴行・強盗事件などが多く発生しているので、絶対に近づかないようにしましょう。
ダウンタウン、ミッドタウンのあたりは、基本的にはビジネス&ショッピング街なので、多くの観光スポットが密集している場所でもあります。
ここを黄色で示したのは、観光客狙いの詐欺、窃盗、強盗などが多いため。
置き引きやスリなどには十分注意してください。
- ハーレムより上はあまり近づかない
- 観光地エリアでは物取りに注意
ブルックリン
人気上昇中エリアのブルックリン。
もともとは工場地帯だったエリアですが、マンハッタンの地価上昇が元で多くの若者が移住してきたことにより、近年目覚ましい発展を遂げています。
ですが、南部の方はまだまだ発展途上。
未だに工場地帯の名残と低所得者層が多く住んでいることもあって、ニューヨーク内でも犯罪率の高いエリアとなっています。
緑で示しているのはウィリアムズバーグ/グリーンポイントあたりで、この周辺は近年一気に観光地化してかなり安全になった印象を受けます。
黄色で示したブッシュウィック/パークスロープ/レッドフックエリアは、最近人気の高まってきたエリアではありますが、やはり南部よりということもあって、まだまだ完全に安心とは言い難い雰囲気です。
南部は大きく赤で括りましたが、先のデータ上ではそれほど犯罪が多いというわけではないようです。
ただ暮らしていた頃は、地元の人から聞いた話で、あまり行くべきではないエリア、という印象でした。
特に観光地があるわけでもないので、理由がなければ特に近づく必要はありません。
エリア指定していないあたりはデータ上、比較的犯罪の多いエリアとされていますが、この辺りは主に居住区です。
在住者のトラブルなどが原因かと考えられますが、いずれにしても観光客は注意をしておくに越したことはないでしょう。
- ウィリアムズバーグ以外での夜遊びは基本的にオススメしない
- ブッシュウィック/パークスロープあたりがおすすめ
クイーンズ
マンハッタン、ブルックリンに対してイマイチぱっとしないイメージ(笑)のクイーンズ。
大半が居住区を占めているということもあって目立った観光地はそれほどありませんが、その分、比較的安全に過ごせるので滞在にもオススメです。
ただし、赤で示したジャマイカ、JFK周辺などの奥地は基本的にあまり治安が良くないとされており、必要以上にこのあたりに滞在することはあまりおすすめしません。(マンハッタンからも遠いし)
左側で緑のLIC(ロングアイランドシティ)は、近年開発が一気に進んだエリアで、劇的に治安が改善されました。
川沿いには高級なマンションや公園などが並び、高所得者層のファミリーなどが多く住んでいることからも、その治安の良さが伺えます。
西部と示したエリアは、黄色にしてはありますが、留学生らが多く暮らしているエリアでもあります。
というのも、中国人、インド人、タイ人、その他中東系など、移民が多く住んでいることから、他の二つに比べて家賃が安い。
全体的に比較的安全ではあるものの、やはり夜になると雰囲気が悪いところや、北部のほうでは少し退廃的な空気を感じるところもありますので、もし滞在するのであれば電車の沿線近くが良いでしょう。
真ん中のフォレストヒルズと示したエリアですが、このあたりは中国人やロシア人が多く住むことで知られており、近年開発が進んで人気上昇中のエリアです。
筆者が住んでいたのもこの辺りで、4年間暮らしましたが非常に快適なエリアでした。
東部の方には、ニューヨークシティ最大のチャイナタウン、フラッシングやクイーンズ美術館などがあるのですが、未開発のエリアも多く、夜の雰囲気が少し怖いということもあって一応黄色にしておきました。
- 滞在ならLIC~西部/フォレストヒルズ辺りがオススメ
- 地下鉄沿線から離れすぎるとやや雰囲気悪い
- JFK空港周辺は観光客は好きに歩き回らないほうが吉。
ブロンクス
言わずと知れたブロンクスは、ニューヨーク市でも犯罪率が非常に高いと言われるエリア。
とはいえ、数値的にはブルックリンの方が高いのですが、これはおそらく人口の差でしょうか?
いずれにしても、特にサウスブロンクスは、地元民すらあまり近づくなというほどなので、ヤンキースタジアムや特定のスポットに行きたい人以外はあまり足を踏み入れないことをお勧めします。
- サウスブロンクスには用がなければ極力近づかないこと
ニューヨークの滞在おすすめエリア
これらの情報を踏まえてニューヨーク滞在におすすめの安全エリアマップを作ってみました。
もちろん、これ以外の場所が全て危険というわけではありませんが、私的にこのあたりに滞在していれば間違いないのでは?思う場所を紹介します。
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マンハッタン:アッパーイースト/ウエストサイド
夜のセントラルパーク内は危険ですが、その周辺は高級住宅街なのでやはり全体的な治安も良く安心です。
イーストサイドを通る4,5,6番線、ウエストサイドを通る1,2,3番線はニューヨーク中心部へのアクセスも良く、またタクシーも捕まえやすいエリアなので、最高級のニューヨーク滞在を求めるならダントツでこのエリアがおすすめです。
ウィリアムズバーグ/グリーンポイント
ブルックリン内で劇的に開発の進んだこのエリアは、近年まで地元アーティストらが集まる倉庫街で、決して安全とは言い難いですが非常に独特の空気感を持っていました。
しかしエリアの人気が爆発し、一気に商業化。
かつての空気感はもうなくなってしまいましたが、代わりに治安は大きく改善され、現在はとても安心なエリアとなっています。
クイーンズ:LIC/アストリア
先にも説明したLIC(ロングアイランドシティ)は、近年一気に開発が進んでいるエリア。
夜遅くまで大通りでも多くの飲食店が営業していて、安心。
またその東に位置するアストリアは、日本人や欧米系の人たちから人気のあるエリアなので、日本人観光客にとっても精神的に安心できる場所ではないでしょうか。
クイーンズ:フォレストヒルズ
筆者が住んでいたこともあるフォレストヒルズエリアは、主に中国系やロシア系、ユダヤ系の富裕層が多く暮らすエリアで、近年人気が高まってきています。
もともと欧米系主体で平和な雰囲気だったのですが、高層マンションや商業施設の新設などでますます開発が進み、より住みやすい環境になっていっています。
安全なホテルを探すコツ
上記で紹介したエリア以外は全てダメ、というわけでは全くありませんが、個人的な見解でこれらのエリアを滞在先に選べば、比較的安全度高く滞在できるのではないかと思います。
このエリアを含み、安全面を重視するコツとしては、
- 大通りに面しているか
- 人通りが多いか
- 周辺に遅くまでやっている飲食店があるか
- 駅から近いか
などを検討しながら探すと良いでしょう。
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まとめ
- ニューヨークは昔より安全になった。だけどまだまだ注意が必要。
- 安全に観光するために万全の注意を。
- 危険なエリアには極力立ち入らない。(マンハッタン北部/ブロンクス/ブルックリン南部/クイーンズ東部)
- ホテルはできるだけ安全なエリアで取る
以上がニューヨークの治安に関する情報でした。
これらのことを踏まえて行動すれば、大きな事件に巻き込まれることはそうそうないとは思いますが、何らかのトラブルにあった時のため、海外旅行保険の加入は必ずしておくようにしてください。
海外旅行保険に関しては、以下の記事が参考になります。
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